APIの可能性

「API」という単語をしばしば目にするようになりました。例えば、日経新聞では2017年になってからの3か月間でAPIに関連して15件の記事が掲載されています。今回はAPIとはどんなものか、中小の事業者にとってどんな可能性があるのか考えてみたいと思います。

APIは、Application Programming Interfaceの略で、情報システムの開発では古くから使われていた用語です。情報システムは、多数のコンピュータ・プログラムを組み合わせて作りますが、そのプログラム間のやり取りの決まりなどをAPIと呼んでいます。これに対して、今、注目されているAPIはWeb APIあるいはオープンAPIと呼ばれるもので、インターネット・Webの技術を基本にし、企業を跨ってプログラムを組み合わせることができるようになったという特徴があります。

APIは、以前にも一度注目されました。10年くらい前からWebページは、他社の情報を貼り込んで使い勝手を良くすることが一般的になりました。Googleの地図を表示するページなどはよく目にします。マッシュアップと呼ばれますが、この時に使われているのがWeb APIです。Google社は位置を渡すと地図を返すWeb APIを提供しているわけです。
このAPIも大変なインパクトがありましたが、Webページの中に閉じた話でした。今回テーマのAPIは、謂わば、企業の業務をマッシュアップする力をもっているといえるでしょう。

一つ事例をご紹介します。
倉庫業を営む寺田倉庫は、minikuraというサービスを行っています。ネットの手続きで完結するトランクルームのようなもので、1)minikuraのWebページから手続きすると専用の箱が送られて来て、2)詰め込んだ荷物は宅配業者が引き取り、3)その荷物は寺田倉庫が一つずつ写真をとって、利用者毎のWebページにアップし、4)利用者は荷物を指定して出庫することができ、さらに、直接オークションサイトに出品することもできる・・・という大変ユニークなサービスです。
寺田倉庫は、このminikuraの全機能を企業向けにAPIとして提供しています。利用企業は、自社の情報システムとminikuraをAPIを通じて接続することで、minikuraを自社の倉庫のように利用することができるわけです。利用企業は、自身のビジネスモデルに注力し、ロジスティック部分はminikuraに任せることが可能になります。既に、ファッション通販サイト事業者などがこのAPIを利用しているとのことです。

現代社会ではイノベーションが待望されています。そしてイノベーションは、複数の技術や商品やサービスが結合することで生まれる可能性が高まると言われます。APIはその結合を促進するものとして期待されているのです。
オープンAPIという単語でネット検索をしてみると、様々な事業者が、自社のもつコンテンツやサービスをAPIとして提供し始めていることがわかります。そして、提供側が予想していなかったような様々な利用方法のアイディアが生まれているといいます。

APIは、中小の事業者にとっては技術的なハードルが高いと感じる方が多いかもしれませんが、そのハードルは確実に下がっています。APIを利用する側についていえば、Webの基本技術の延長ととらえることができます。何より、APIにより大企業でなければ持ちえなかったリソースを自社のもののように利用できることは大きなメリットになります。アイディア次第では中小の事業者では実現できなかったようなビジネスも可能になるかもしれません。
APIの提供側になることも十分考えられます。Webが新たなチャネルになったように、今後はAPIが自社のサービスを提供するチャネルになるかもしれません。minikuraでは、APIを提供することにより、BtoC主体だった事業がBtoBに大きく広がったそうです。

APIは、このような可能性をもった技術であり、動向だと捉えることができます。
ITCはまさきとして、この動きを継続してウォッチし、情報発信していきたいと思っています。

ITCはまさき 平鹿一久

(参考)minikuraについて:https://minikura.com/